米中対決 2018 10 21

書名 金融破壊者たちの野望
著者 佐藤 元則  東洋経済新報社

「現代版の浦島太郎」
 「米中対決」と書きましたが、
ここでは、「アマゾン」対「アリババ」のことです。
 「金融破壊者」も、この本では、
アマゾン対アリババのことです。
 金融機関が「金融破壊者」には、なり得ないでしょう。
旧態依然とした業界ルールが、
いや、旧態依然とした規制が、
金融機関を苦しめているでしょう。
 そういう規制の中で苦しんでいるうちに、
世界では、「決済革命」が超高速で進んでいくでしょう。
これは、「現代版の浦島太郎」と言えるでしょう。
 「浦島太郎」が「巨大な亀」という乗り物に乗って、
海底にある「竜宮城」に行き、
そこで数年間過ごして、地上に戻ってきたら、
地上では、100年以上の時間が経過していた。
 今の時代、「フィンテック革命」や「キャッシュレス革命」と言いますが、
こうした革命は、金融機関を不要にしてしまうベクトル(方向性)を持っています。
 中国で進んだ「キャッシュレス革命」は、
もはや「新幹線」に近い、いや「光速」に近いスピードだったと思います。
 「キャッシュレス革命」において、
日本が中国に追い抜かれたのは、
あまりにも「瞬間的」で気づかなかったので、
「光速」に近いスピードだったのかもしれません。
 中国人が日本にやってきて、
最初にする行動は、「財布を買うことである」と言われています。
 「まだ、日本人は財布を使っているのか」と、
昔を懐かしむ思いで財布を眺める中国人もいると聞きました。
 さて、金融機関には、「融資機能」が残るかもしれませんが、
アマゾンに出店している事業者に、
アマゾンが積極的に事業資金を融資するようになると、
「金融破壊者」になるでしょう。
 ところで、アマゾンには、別の方向性が出てきたと言えるでしょう。
それが、「アレクサ」という「スマート・スピーカー」です。
 これは、ネーミングが間違っているので、ピンとこないでしょう。
「スピーカー」というと、音楽を聴く「スピーカー」を連想してしまいます。
これでは、アレクサの「本質性」を誤解してしまいます。
 アレクサで重要なのは、アレクサが上手に「しゃべる」ことではなく、
アレクサが上手に「聴く」ことが重要なのです。
 アレクサの本質は、「リスニング」にあります。
本当は、「スマート・リスニング」と名付けるべきだったのです。
 「AI(人工知能)」を進化させるには、人間と会話をさせることです。
しかも、より多くの人間とより多くの時間、会話をさせることが、
「AI(人工知能)」を進化させる近道です。
これが、アレクサの本当の使命です。
(参考)
 「決済革命」については、
以下の「決済革命 2018 9 9」も参考にしてください。
 この文章には補足があります。
日本では、誰もが銀行口座を持っていますが、
これは、世界標準ではありません。
 発展途上国に行けば、
銀行口座を持っていない人が多数派です。
 事業を世界展開させたいと考えるならば、
「銀行口座を持っていない人」が多いと考えて、
事業を考えるべきでしょう。
 それとも、日本という「竜宮城」にこもっていたいでしょうか。
確かに、日本は、安全で快適なので、
正に、日本は、「現代版の竜宮城」と言えるでしょう。
 しかし、日本人が「竜宮城」で快適に過ごしている間に、
世界は、「光速」に近いスピードで進化しているのです。
 今、日本は、「竜宮城」になってしまった。
そして、日本を訪れる外国人は、「竜宮城」を見に来ている。
 日本よ、なぜ進化をやめるのか。
米中対決という「荒波」を避けるために、「竜宮城」に避難するのか。

決済革命 2018 9 9

書名 仮想通貨 金融革命の未来透視図
著者 吉田 繁治  ビジネス社

 最近、「Fintech」技術の進展により、
「決済革命」という言葉が使われるようになっていますが、
この本を読むと、本当の「決済革命」とは、
仮想通貨(暗号通貨)のことであると思いました。
 「実験通貨」かもしれない「ビットコイン」には、
さまざまな問題点があることがわかりました。
 そこで、そういう問題点を解消した、
「クリプト」という仮想通貨が登場したと仮定します。
ここでは、1クリプトは100円と仮定します。
 たとえば、あなたがインターネットで、
アクセサリーショップを開いていたとします。
 1個2,000円のアクセサリーが売れたとします。
お客は、代金をどうやって支払うか。
 2,000円をアクセサリーショップの口座に振り込むか。
これでは、「面倒くさい」と思う客が多いでしょう。
 さりとて、アクセサリーショップに、
クレジットカードの番号を教えるのも問題があるでしょう。
 ここで、仮想通貨があれば、問題は解決するのです。
双方がスマートフォンを持っていて、
支払いは「クリプト」でよいと了解すれば、
「20クリプト」を送信すれば、すぐに決済は終了するのです。
 もうひとつの決済革命は、外国との貿易です。
最近、日本では、チリ・ワインが人気ですが、
1本2,000円相当のワインをチリから買う時に、
代金は、どうやって支払うか。
 2,000円の日本円を受け取っても、
チリの人たちは、困ってしまいます。
 さりとて、日本で「チリ・ペソ」という通貨を用意しますか。
そういう通貨は、日本国内では調達できないでしょう。
 現状では、2,000円相当のドルを調達して、
国際コルレス銀行を経由して、チリの人たちに送金するのです。
 この送金方法では、何日もかかりますが、
ドルならば、チリの人たちは、受け取るでしょう。
 しかし、チリの人たちが、仮想通貨の「クリプト」でよいと言うならば、
スマートフォンで、チリに送信すれば、決済は終了します。
 しかしながら、多くの人たちは、こう言うでしょう。
「どこが発行したかわからない仮想通貨は、信用できない」
 その通り。
信用できないでしょう。
 しかし、政府が仮想通貨を発行したら、どうなるか。
世界には、劇的な変化が起こります。
 小国が大国に勝てる可能性があります。
たとえば、北欧のエストニア共和国が仮想通貨を発行する場合です。
おそらく、世界のマネーがエストニアに流れ込むかもしれません。
 ところで、相変わらず、「ビットコイン」という仮想通貨は、
誰が考えたのかという「犯人探し」が行われています。
 最近では、アメリカの国防総省であるとか、
アメリカの「ある機関」であるとか、いろいろな説があります。
 「ビットコイン」は、「ブロックチェーン」という仕組みの一部分に過ぎませんので、
このような広大なシステムを構想するのは、とても個人では無理です。
組織的な人材が不可欠です。
 どうして、アメリカだと疑われるのか。
基軸通貨であるドルを危うくする仮想通貨を、
なぜ、アメリカが考えたと疑われるのか。
 それは、金融危機や経済危機のたびに、
金融機関を救済するために巨額のドルを印刷した結果、
ドルの価値がひたすら減価していったというのが、
この50年の歴史です。
そこで、何か対策を考える必要があります。
 たとえば、日本円では、
昔は、1ドル360円だったのに、1ドル200円になり、
今では、1ドル100円になっています。
 日本銀行も、アメリカに対抗して大量に円を印刷しましたが、
それでも、ドルの減価を止められなかったのです。
 また金融危機や経済危機が発生したら、どうなるか。
1ドル50円は許容範囲かもしれませんが、
1ドル10円や1ドル1円は、容認できません。
そうなったら、日本がアメリカを丸ごと買収するでしょう。
 最近、どこの国も、貿易振興のために、
自国通貨の「通貨安」政策を推進していますが、
本来、通貨安というような政策は、間違いです。
「ドルが強いということは、アメリカの国益である」と言うべきです。







































































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